Yok Osaka

大阪市立大学建築学科 横山俊祐研究室の雑記です。研究室での現在の活動の様子について報告を逐次行っていきます。

2012年9月27日木曜日

#104 街が冷蔵庫



さて、ゼミ旅行3日目。
この日は最も建築学科のゼミ旅行らしい日程だったのではないでしょうか。




まずは台北101
 でかい
こわい
以上










観光はこの辺にしてメインにベントにいっていいですか?



いーーんです!





突撃!隣国のお宅訪問!
といーことで、王さんの実家とおばさんの家にお邪魔しました。

では、みなさんに台湾の庶民の生活をご紹介致します。

台北の中心部から地下鉄に乗って15分ほどでやってきたのはこちら



こんなん、いかにもですよね。
台北市のお隣、板南市。
ここが王さんの故郷です。
建築学生としてはもうこんなん見ただけで垂涎ものですね。
どこからつっこんでいいのやら。



まずは王さんのおばさんのうちへ
さあ、みなさんよくいらっしゃいました、どうぞ中にお入り下さい。



 はいお邪魔しまーすということで中はこちら
事前知識のない方にはなんともがらんとしたよーわからん部屋ですが



いーーんです!

これにはちゃんと意味が


あーーるんです!!





みなさんは『家庭工場』という言葉を聞いたことはありますか?
王さんが台湾の集合住宅を説明するときによく使う言葉なのですが
いわゆる、店舗(工場)兼住宅です。

サクッとプラン書きました。
こんな感じ

台湾のこの手の集合住宅は基本的にスケルトンインフィルで建築されています。
スケルトンの空間を買って、自由にインフィルを作っています。(スケルトンによってある程度プランは決まってきますが。)



集合住宅の1階はしばしば商業の場として使われるそうで、昔はここでも布団の製造をしていたそうです。なので、こんな広い空間が残っているんですね。




では次は3階へどうぞ。

玄関かっこいい!
なかなか毒々しいカラーリングですが、台湾では赤が縁起のいい色らしいです。

もうこの時点でこの国とは仲良くやっていけそうです。

(わかる人にはわかると思います)












さて、気を取り直して
次のフロアのプランはこんな感じ。
一気に生活感が出ますね。
入ってすぐ目に入ってくるのがこいつ!


どーんと!
これは台湾の仏壇兼神棚です。

日本のように仏間等を設けず、生活の中心となる部屋に置いてあります。
ものすごい存在感を放っています!!

こういう家具の置き方ひとつでも、
家族(先祖)や宗教に対する意識の違いというのが浮き彫りになりますね。
より身近で尊い存在なのでしょう。



さて、部屋の中に階段があるので上に行きます。
この辺りで、鋭い人は違和感に気付くかもしれませんが


いーーんです!




次のプランはこちら。

主に若夫婦と子供達が日常使うフロア。

上がってすぐの広い部屋がこんな感じで子供達のもので占領されています。
はじめは、この部屋は一体なんやという感じでしたが、
子供の居場所とみんなの団らんが同じ場所。
日当りもいい。
いいプランだなと思います。
引きこもりとか少ないんだろーなと思っちゃいます。
引きこもる場所ないし。


ベランダはこんな感じ。

BBQできるわ!


ここで王さんから衝撃の一言。
「センセイココトコノウエワゾウチクダヨ」











変換してみましょう。







「先生、こことこの上は増築だよ。」



??




そうなんです。
増築、いーーんです!!



???






つまり、この4階ともうひとつ上の倉庫になっている5階は、
あとから家族人数の増加に伴って作られた増築なんです。



集合住宅でそんなことあるかよ!というところですが
いーーんです!
それが台湾なんです!
くーーーーぅっ!




では、もうひとつの増築階である5階はというとこんな感じ。



一気に増築感がアップ!
天井高は高い所でも2000あるかないか。
恐るべし台湾。。。




次は王さんの実家へ。
こんな感じです。

一通り見学した跡はリビングで全員揃って座談会。
異国の地でゼミスタートです!






ここでキッチン研究科の竹嶋が気になっていたことをポツリ。

「冷蔵庫の位置がおかしい」

そうなんです見せてもらった所では、冷蔵庫がキッチンにはない。
団らんスペースやダイニングにあるんです。(図面参照)


とここで我らが横山先生から名言が飛び出しました!


「街が冷蔵庫なんだよ」


なるほど。


ここまで見てきた家は全てキッチンが家の一番おく。最も良く使われる団らん兼応接スペースは玄関はいってすぐの所に。
ちょっとジュースとかとりに行くのに不便なんですね。
だから、より使用頻度の高い部屋に冷蔵庫をおいてしまう。
さらに、この辺の庶民的な街には伝統市場といって
昔ながらの地元の人向けの市場があり、
屋台やちょっとした飲食店もあって、正直料理しなくても食っていける。
料理するにしても、なんでもすぐに必要な分だけ買いにいけるから
買い置きの必要がないんです。
つまり、冷蔵庫、そんなにいらないんです。
うん。なるほど。


家具のおかれ方ひとつで生活が見えてくる。


This is 建築計画.


他にも、ほとんど窓がないやら、作り付けのクローゼット等も少ない、
靴を脱ぐ所がない、床は大理石かタイル、などなど。

いろいろと気になる所を挙げて思いを巡らしました。



本場の空気を感じながら、語り合う。
なんとも有意義な時間でした。



視野ひろがったなー







ということで、お家訪問は終わりです。おじゃましましたー
では
yasuda presents かっこいい増築

をスライドしょーでどうぞ。





オリジナルはどこまで?

そんなのどうだっていーーんです!

これはペントハウスでいいの?

呼び方なんてどーだっていーーんです!

こんなに載せて積載荷重大丈夫?

いーーんです、建ってるからいーーんです!
日本と同じ地震大国だけど、いーーんです!


2階建ておるけど、、、

いーーんです!









一通り、まわりの違法増築建築群を見て
えも言われぬそのパワーに唖然としていた頃、



西原氏がこの台湾旅行最後の名言を残してくださいました。


「ヒトハウマレナガラニシテケンチクカナンヤ」




変換してみましょう。







人は



生まれながらにして



建築家なんや








なんとも尊いお言葉。
ヒトの本質をつき、
人間の根源までも揺るがしかねない金言!
そう、私たちはみな誰もが建築家なのです!www
台湾の人々は「建てる」という
ヒトの本質的欲求を満たすために増築を繰り返すのではと。





ただ、隣の竹嶋には全く響いていません。
なぜなら彼の頭にはこのとき日本に残してきた彼女のことしか頭になかったからです。
 

あぁ、竹嶋よ。
君はいつになったらこの言葉に耳を傾けてくれるのか。







そんなこんなで、次の日の朝に帰国しました。


台湾の人の優しさにふれ
毎晩夜市で遊び倒し
オールド台湾に耽り
建築計画学を思う


盛りだくさんな旅でした。


ありがとう台湾。
しーゆーあげいん!





PS:帰国後の関空でうどんを食べたことは言うまでもありません。


やっぱり日本の出汁最高!
くーーーーぅっ!!

[kosuke]

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